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利用者さんの笑顔と嬉し涙が介護職のやりがい

利用者さんの笑顔と嬉し涙が介護職のやりがい

私が介護職に就いた理由は、お年寄りが好きだからですが、もう一つ大きな理由があります。

20年前のある日、私は大好きな祖母(認知症・要介護2)を車イスに乗せて花見に行きました。

かなり混雑していて、車イスを押しながら人を避けた瞬間に「ガタッ」とタイヤが石に乗り上げてしまったのです。

その拍子に車イスが横転し、祖母が車イスから投げ出されました。

私は慌てて祖母を抱き起こし、車イスに乗せようとしますが、重くて祖母を持ち上げることができません。

小柄でそんなに重いわけじゃないのに、力の入らない人を動かすのはこんなにも大変なのかと思いました。

周りにいた人が助けて下さり、なんとか祖母を車イスに乗せることができましたが、私は何とも言えない悔しさでいっぱいでした。

「私に介護の知識と技術があったら、おばあちゃんもっと楽なのに…」と強く思いました。この経験が後に介護職に就いた大きな理由です。

結局、祖母に介護の知識も技術も活かせないうちに亡くなってしまいましたが、祖母と同じように介護を必要としている人がいっぱいいるのだから、私が力になりたい!助けたい!介護を通してお年寄りに尽くそう!そう心に決めたのです。

それから色々な職場でたくさんの利用者さんと関わってきました。

今回は訪問介護で「本当にヘルパーやっててよかった~」と心からやりがいを感じたエピソードをご紹介します。

三度の飯よりお風呂好き《三千代さん88歳》

三千代さんは、5年前からパーキンソン病を患っていて、手足や顔の震え、筋肉のこわばりが強く、さらに腰が90度くらいに曲がっているので、もちろん自立歩行はできませんし、生活のほぼ全てに介助が必要でしたが、それ以外に基礎疾患や認知症などもなく、穏やかで品があり、なによりとても話好きなおばあちゃんでした。

週に2回はデイサービスに通い、軽いリハビリ体操や、お友達とお話しして楽しく過ごしていました。

デイサービスでは午前中は入浴の時間で、利用者さんは順番に介助され入浴しますが三千代さんはいつも入浴せずに清拭(タオルで体を拭く)するだけでした。

本当はお風呂に入りたいのに・・・

本当はお風呂が大好きで入りたいのは山々だけど、デイサービスの慣れないお風呂で毎回違う職員に介助されるのが怖いということでした。

自分の力では浴槽をまたげないので、職員が抱えて浴槽に入るのですが、三千代さん曰く、職員の技術に差があるので、上手な職員の時は安心して入れるけど、頼りない職員の時は怖いし気を使うしで疲れてしまうのだそうです。

そこで、ケアマネの提案で、訪問介護を入れて、なんとか自宅で入浴できないかと、試しに一度やってみましょうということになったのです。

パーキンソン病の利用者さんは体がこわばっていて震えも大きく自由が利かないため、入浴介助の難易度は高く、なかなか正しく介助できる職員がいないのです。

私が勤めていた事業所は、通所介護(デイサービス)と訪問介護部があり、私はヘルパーとして訪問部に所属していました。

私が三千代さんの担当に指名されたのは、以前2人のパーキンソン病の利用者さんに関わった経験があるからでした。

また、ある程度のパーキンソン病の知識を持っていましたし、入浴介助が得意ということもあったようです。

パーキンソン病の利用者さんの自宅入浴の試み

いざ入浴の日、三千代さん宅に社長、ヘルパーチーフ、ケアマネ、三千代さんの娘さんが集まり、私の入浴介助を全員で狭い脱衣所から査察するという何とも面白い光景になったのです。

三千代さんはというと、自宅のお風呂に入れた喜びで終始ニコニコされていて、マッサージ洗髪し、体を隅々まで洗うと「あ~気持ちいいね~本当にお風呂は極楽極楽だよ~」と幸せそうな顔をされていました。

私は三千代さんの身体の動きをしっかり観察し、三千代さんが怖い思いをせずに楽に入れる方法を色々と考え、見守っている皆さんとも案を出し合いながら入浴介助したのです。

最後に湯船に浸かるため、三千代さんを右手で抱きかかえ、左手で足を片方ずつ持ち上げて湯船に入れ、三千代さんのお尻が着くまで私も一緒にしゃがみ込みます。

安心して入れたのか三千代さんが変に力を入れることはありませんでした。

すると、湯船の中で体育座りのような姿勢で温まっている三千代さんが突然泣き出したのです。

皆びっくりして「どうしたの?」と聞くと、三千代さんは小さい声で「私はね、本当はお風呂が大好きなんだよ、でもこんな体になっちゃって何にもできなくて皆に迷惑かけてるのにお風呂に入れてくれなんて言えないよ...でもデイサービスじゃ怖くて...もう二度とお風呂には入れないと思って諦めてたんだよ...まさか自分ちのお風呂でこんなにゆっくり入れるなんてさ」と涙を拭いながら言うのです。

そして「本当に嬉しいよ、ありがとうね。Fさん(私)にやってもらえるなら安心して入れるよ。なーんにも怖くなかったよ。丁寧に洗ってくれて、足の指の間まで洗ってくれた人は初めてだよ、本当にありがと」と言ってくれたのです。

私は三千代さんの背中をさすりながら嬉しくて涙がこぼれました。

この時、心から思いました。介護って素晴らしい!と。

それから週2回、13時からのサービスで三千代さんの入浴介助に伺っていました。たまに、まだ食事中の時があり「大丈夫ですよ、ゆっくり食べてからで」と言うと、「いいのいいの!私は三度の飯より風呂がいいんだから!あははは!」と笑うのです。

誰かが涙を流してまで喜んでくれたり、笑ってくれたり、そんな仕事ができて本当に幸せだと思います。

私が一番やりがいを感じていた利用者さんとのエピソードでした。

  • コラムカテゴリー : 介護

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