COLUMN
コラム今回は、訪問看護がきついといわれる理由について、自身の体験談も含めてお伝えしていきます。大変なことだけでなく、やりがいやお給料面での魅力についてもご紹介していくので、参考にしてみてください。
訪問看護がきついと言われる理由には、以下のようなことがあります。
訪問看護では、ご自宅でさまざまなケアや処置を行います。
環境が整っている家庭もありますが、整っていない場合もあります。
また、訪問看護導入時はADLがしっかりしていたけれども、徐々に低下してきて環境調整までの間のケアが大変ということも考えられます。
例えば、
などが挙げられます。
訪問看護ステーションで欠かせないのが、オンコール対応です。
ときには、オンコールを取り入れていない場合もあるかもしれませんが、ほぼオンコールを導入していると思った方がいいでしょう。
このとき、非常勤の人は免除しているステーションも多いですが、常勤はオンコール対応が必須のところがほとんどです。
オンコールは、休日や夜間などに対応しなければいけないことも大変なことですが、出動後代休がないところがほとんどです。
したがって、夜間に出動しても翌日は出勤することになります。
その点でも、体力的に大変と思う人もいます。
訪問看護では、利用者やご家族との人間関係が欠かせません。
特に、ご家族との関係は病棟勤務のときには、関わりをほとんど持たなかったという人もいるのではないでしょうか。
しかし、訪問看護では利用者との信頼関係はもちろんですが、ご家族との信頼関係も必要です。
訪問看護では、週に1~2回1時間程度の訪問なので、訪問以外のときのご家族の協力も欠かせません。
そういった意味では、ご家族との関係はとても大切になります。
訪問看護でもう一つ欠かせないのが、多職種との連携です。
特にケアマネージャーや主治医との連携は、大切になります。
ケアマネージャーは、訪問看護はケアマネージャーのケアプランに沿ってケアに当たっていきます。
そのため、ケアプランに含まれないケアは基本的に行なうことができません。
もし、定期的に必要だと思われるケアならば、ケアマネージャーに相談してケアプランに入れてもらう必要があります。
しかし、ケアマネージャーによっては、提案しても必要性を感じてもらえず、導入を拒まれてしまうこともあります。
そのようなときに、ケアマネージャーとの連携が難しいと思う人も多いです。
一方、医師との連携も大切です。
利用者の身体状況に変化があったときには、指示をもらわなくてはいけません。
しかし、時には気難しい医師もおり、気軽に薬の処方についてお願いするのが難しい医師もいます。
そういった場合、表現の仕方に気を付けたりなどの対応が必要になるため、難しいと思う人もいるでしょう。
訪問看護がきついと言われる中では、訪問先の環境が過酷ということもあります。
独居の方の場合、環境整備がきちんと行えない方もよく見かけます。
すると、夏場は腐った食べ物の臭いで悪臭がしたり、ハエが出ていたりといった著しく不衛生な環境もあります。
また、エアコンがないお宅もあり、利用者が熱中症になっていないかもそうですが、訪問中に自分が熱中症で倒れないように、気を付けていくことも必要です。
次に私が訪問看護師として働いていてきつかったケースについて、紹介していきます。
対策もお伝えしていくので、参考にしてみてください。
ご家族は、とても熱心で介護の仕事をしている方でした。
ご本人は体格のいい男性の方でしたが、ADLを保つためにも極力家の中での移動は歩行でしたいという考えの奥様でした。
入浴に関しても、できるところまで自宅のお風呂に入らせてあげたいとおっしゃられており、私が訪問に携わらせて頂いたときには、すでに浴槽からの立ち上がりが困難になり、シャワー浴になっていました。
しかし、それでも浴室までの移動、シャワー浴をした後は体が濡れていて、歩行時も床ですべって転倒する危険性がとても怖かったです。
また、体を抱えていても滑るし、万が一のときに裸なので掴むところもなく、体が大きいので覆いかぶさられたら共倒れの危険性もあり、自身の体も危なくて、介助時にはとても緊張しました。
最終的には、管理者がケアマネージャーや奥様と話しをしてくれて、訪問入浴の導入になったのですが、転倒のリスクが本当に怖かったです。
奥様は、とても介護熱心な方でしたが、やはり安全が守られないケアをしているところでは、看護師同士の中でも問題視され、情報共有を常にしていました。
このように、大変な利用者に対しては一人で抱えず看護師同士で話し合いながら、最終的には管理者にも介入してもらって、安全なケアが提供できるように調整していくことが大切です。
脊髄損傷による神経障害で、自力排便ができない方の排便コントロールのために週に3回訪問していました。
自力排便がムリなので、排便はその週3回の浣腸と摘便だけでした。
民間の訪問介護を利用していて、24時間介護士さんがいる状況だったのですが、看護師が帰った後に排便があったら、介護士さんに申し訳ないから訪問時にすべて出してほしいと言われました。
人の体なので、もちろんどれくらいの時間ですべて排便されるかわかりません。
時には3時間近くかかったこともあります。
訪問看護は、訪問時間が決まっています。
その方はまだ若くて、医療保険での利用だったので、保険内での訪問は90分です。
しかし、その方は全部出してくれないと困るとの一点張りで、説明をしてもなかなか受け入れてくださりませんでした。
このときも、当時管理者だった人と看護師全員で相談をし、延長の追加料金をいただくことになりました。
追加料金をいただく時にも不満をおっしゃられており、長い間利用していた方ですが、結局他のステーションに移られました。
認知症の方の訪問の場合、一人での訪問がゆえに大変だと感じるのが、不穏な状態のときです。
病棟や施設であれば、スタッフがたくさんいるので、交代もできます。
しかし、訪問看護の場合一人での訪問なので、訪問したときに険悪な雰囲気になってしまったら、何もさせてもらえないという状況になってしまうのも珍しくありません。
もちろん、状態観察のために入っていることもありますが、入浴介助やなにか処置をしなければいけない場合、行なうことができません。
その場合、管理者やケアマネージャーに相談をして、訪問内容の変更を相談することもありました。
訪問看護では、上記のように大変なことも多いです。
しかし、病棟のように物品がそろっているわけでもなく、なにかあったときに薬をすぐに処方してもらえるわけではありません。
したがって、訪問看護師の創意工夫と医療ではなく、看護で対処していくことも多々あります。
例えば、発熱時はクーリングで様子を見たり、便秘の方には腹部マッサージや摘便で対処したりします。
そして、そんな自分の看護技術で問題が解決したときには、とてもやりがいが得られる職業です。
また、訪問看護師は夜勤がない分、年収などは病棟よりも下がってしまう傾向にあります。
しかし、基本給に関してはさほど変わりありません。
さらに、オンコール当番になれば手当が付いたり、月の訪問件数や訪問時間によって、インセンティブが付く事業所もあります。
したがって、特に子育て世代の看護師の場合、看護師としてのやりがいを感じつつ、育児の両立もしやすいと言えます。独身の場合も、ワークライフバランスが取りやすく、仕事以外でも充実した毎日を送ることが可能です。
今回は、訪問看護がきついといわれる理由について、自身の体験も含めてお伝えしてきました。
訪問看護師は、確かにきついこともたくさんあります。
しかし、看護師としてのスキルを使って、利用者やご家族に感謝の言葉をかけられたときの喜びは、病棟で働いていたとき以上のものです。
そして、お給料も若干病棟勤務よりも下がるとはいえ、他の職業に比べたらいい金額です。
そんな、魅力がいっぱいの訪問看護でぜひ働いてみてください。
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